【平泳ぎは女性向きの泳ぎ方ではない?】
一部の上級者だけが圧倒的だった時代は終わり、水泳の熟練度に性別差や年齢差はさほど関係なくなってきました。
女性スイマーが男性スイマーよりも遅いといわれていたのは昔の話で、今や男性を圧倒する女性スイマーも多くなってきています。
しかし、一般レベルの大会では「平泳ぎ」に男女差がみられることが今でも珍しくありません。
優勝タイムを確認してみると、自由形や背泳ぎなどのタイムに男女差はほとんど無いのに、平泳ぎだけ10秒近い差が生じているなんてことも…
このことから、スイマーのなかにも「平泳ぎは女性スイマーには不利」と考える方が多いようです。
どうして女性スイマーは男性に比べて平泳ぎのタイムが遅くなってしまうのか…
その原因は、単純な「筋力差」にあると考えられています。
ゆっくり泳ぐ分には体力の消耗が少ない平泳ぎですが、実は4大泳法の中でも最も水の抵抗の大きな泳ぎ方だと言われています。
両腕を押し開くようにして水を掻き出さなければならないため、クロールや背泳ぎに比べると大きな力を必要とするわけですね。
そのため、平泳ぎででスピードを出すためには、腕や胸まわりを中心にして並外れた筋力が必要不可欠です。
体の構造上、男性は筋力がつきやすいため平泳ぎに有利な体づくりを行うことができます。
しかし女性は筋力がつきにくいため、平泳ぎに必要な筋肉量を確保すること自体が難しいとされているのです。
女性同士のレースなら相手も条件は同じですが、男性とタイムで勝負するとなるとどうしても不利になってしまいがちなのです。
【世界では男女のタイム差が縮まってきている】
女性は筋力が足りないから平泳ぎに向いていない…
そう考えるスイマーは少なくありません。
しかし、近年では女性向けのテクニックや練習法が確立されつつあり、女性スイマーの平泳ぎでの成績もグングン上がってきているのです。
確かに現在でも平泳ぎの世界記録には男女差が存在しますが、その差は少しづつ縮まってきています。
100m平泳ぎ男子世界記録はアダム・ピーティー選手の57秒13ですが、同じく100m平泳ぎ女子世界記録はリリー・キング選手の1分04秒13…
これをまだまだ大きな差と捉えるか、わずかな差と捉えるかは意見の分かれるところでしょうが、すでにその差は7秒にまで縮まっているのです。
しかもリリー・キング選手が女性新記録を叩き出したのは2017年とごく最近の話なので、今後もどんどん女性スイマーによる平泳ぎの記録は塗り替えられていくことでしょう。
国内記録をみても、平泳ぎにおける男女差は縮まっている傾向にあるようです。
100m平泳ぎ男子国内記録は北島 康介選手の58秒90、対して100m平泳ぎ女性国内記録は渡部 香生子選手の1分05秒88…こちらも約7秒差といったところですね。
すでに「女性は平泳ぎに不利」だと言われていた時代は、終わりを告げようとしているのかもしれません。
【女性に適した泳ぎ方をマスターする必要がある】
では、どうしてかつては不利だと言われていた平泳ぎの世界で、女性スイマーたちが活躍できるようになってきたのでしょうか。
根本的な問題点であった「筋力」はそう簡単に改善するものではないので、やはり「テクニック」の向上が影響しているとみるべきでしょう。
以前は、女性スイマーが平泳ぎで活躍するためにも、筋力の増強が必要だという説が主流でした。
理論的に間違った話ではないのですが、そもそも「筋力が付きにくい」という問題の解決法として「筋力をつけろ」というのは、今にして思えばあまりにも乱暴な考え方ですよね。
しかし近年では、
「女性と男性では筋力の付き方が違うのだから、泳ぎ方も異なるべきではないか?」
という考え方が広まってきています。
それから数多くの女性スイマーが試行錯誤を重ねてきた結果、筋力をフルに活用した男性向けの平泳ぎとは違う
「女性特有の平泳ぎ」
が確立されつつあるのです。
従来のように筋力に任せて泳ぐのではなく、女性の体のつくりを理解した上で、効率的な泳ぎを実践することが大切だと分かってきたわけですね。
その結果として近年の女性スイマーの大躍進があるのですから、「女性に適した泳ぎ方を構築する」という考え方は正しかったといえるでしょう。
もしもアナタが平泳ぎのタイムに伸び悩んでいるのなら、今一度「この泳ぎ方は自分の体に適しているのか」という点を考慮しておいたほうが良いかもしれません。
【女性スイマー向け「平泳ぎスピードアップ・プログラム」とは?】
女性スイマー向けの泳ぎ方は、少しづつ一般の水泳教室でも指導されるようになりつつあります。
しかし、日本中の女性スイマーの数に対して、正しい指導を行える指導者の数が足りていないというのが現状です。
女性スイマー向けの平泳ぎの方法を学びたいなら、
- 「平泳ぎスピードアップ・プログラム」というDVD
がオススメです。
このDVDは、完全に女性向けに開発された平泳ぎの練習プログラムで、なんと北京オリンピック100m・200m平泳ぎ代表の種田 恵さんが監修しているという貴重なものです。
日本トップレベルの女性スイマーが、女性に適した平泳ぎのコツや練習法についてしっかりと解説してくれるという…かなり濃い内容のDVDとなっています。
- 身体が沈んでしまってスピードが出ない平泳ぎの改善法
- 下手な「ひと掻きひと蹴り」の特徴とその矯正法
- 力強いプルの力でスピードアップする選手の特徴とは?
- ベストタイムを出すための平泳ぎ専用ターン練習
- 呼吸するときに水の抵抗を受けてしまっている選手の改善法
- 姿勢が一直線にならない選手が覚えるべきストリームライン
- 腕の筋力が弱い選手がスピードアップするためのプル動作
「平泳ぎスピードアップ・プログラム」には、以上のような内容が収録されています。
どれも通常の水泳教室では習えないような「世界レベル」の水泳理論ばかりで、それでいて素人でも理解できるほど解りやすく解説されているのが魅力です。
平泳ぎを専門にしている女性スイマーなら、観ておいて損はないと思いますので、興味のある方はぜひチェックしてみてくださいね。
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